メッセージ
MESSAGE

教員メッセージ

基礎を学び新しい価値の創造を

工学部機械工学科 学科長
杉田 直彦 教授

機械工学は「新しい価値」を生み出すことを目的としています。またその価値を提供する方法にも責任を持ちます。そのため、素材選択・生産手段・動力伝達手段・最適化システム・設計方法・自動化および知能化技術などを総合的に学習する必要があり、多くの経験豊かなスタッフがそれをサポートします。また産業界にはたくさんの先輩がおり、見学会・実習・特別講義などを通して世の中の新しい価値情報に接することができ、共同研究も積極的に行っています。学部の間は講義・演習などを通して、機械工学の基礎を学ぶことができます。また、従来の方法にはとらわれない「新しい価値の創造」を追究して世の中に提案できる機会に溢れています。みなさんの斬新なアイデアを期待しています。

伝統を基盤に次代を目指す

大学院工学系研究科 機械工学専攻 専攻長
新井 史人 教授

機械工学は、1874年の設立以来、四力(ヨンリキ)学と呼ばれる基礎力学(アナリシス)と、知識を統合しカタチにする設計・生産(シンセシス)を基盤とし、これをもとに“社会のための科学技術”として、社会の直面する様々な技術的課題を解決してきました。我々は、現在でもこのアナリシスとシンセシスが強く結びついた伝統的教育体系を大事にしています。皆さんにも、まずは多くの先輩方と同様、基礎体力ならぬこの基礎力をじっくりと身につけてもらいたいと思います。どんな新しいアイデアも基礎に裏打ちされてこそ世の中を変える技術となるもの。
その先には、皆さんにしか出来ない新しい次代の創造が待っているはずです。

基礎から応用へ、それが未来を開く扉

生産技術研究所
大島 まり 教授

私は学生時代は、流体解析を研究していました。ある時、脳外科の先生から流体と関係がある病気のシミュレーションのお話があり、先生とのやりとりを通して、面白いなぁと思って気がついたらそっちの研究分野にシフトしていたという感じです。機械工学と医学の分野は、かけ離れていると思う方も多いと思いますが、実を言うと病気を引き起こす大きな要因は、いろいろな機能を担っている細胞が力学的刺激によって変化することだと分ってきているんですね。重要なことは、物理的な力学という観点で現象をきちんと理解していくということ。機械工学科の良い所は基本となるメカニクスが勉強でき、その成果を様々な分野に応用できることだと思います。ポイントはきちんと基礎を学んだ後に、それをどうやってインテグレイトしていくかということになりますね。基礎を学ぶということは、幅広い応用力で今後の就職・研究など未来の可能性を拓いていくことだと思います。しっかり勉強して頑張っていただきたいと思います。

大島まり 教授

工学部に来たのだから、新しいものを作ってみよう。

工学部機械工学科
中尾 政之 教授

私は修士課程を修了してから9年間、企業でエンジニアをやっていました。その後で、大学に戻って、生産技術や機械設計を教育・研究しています。機械系に進学する学生の多くは、研究者でなくて、エンジニアの職業に就くと思います。エンジニアとしてアナリシスの能力も大事ですが、企業で期待されているのはシンセシスの能力です。これは大学の座学の講義を聴いているだけでは身に付きません。最低でも、まずは一通りの設計・製造過程を体験し、座学で習た知識を出力させて、全体像を頭の中に構築することです。このため、機械系では特に3年生になると、午後は全部、演習一色になって様々なものを作ってもらいます。私の研究室はその流れで、新しいものを作ることが好きな人が集まっています。ただし、対象物が新しいものなので、どうしてもナノ・マイクロの加工技術に偏ってきています。対象物が小さいと見ることからして大変ですが、研究のフロンティアが広々と見渡せる楽しい分野です。

中尾政之 教授

卒業生の声

社会に出てから再認識する学んだことの重要性

2010年 学部卒
マツダ株式会社 パワートレイン開発本部 勤務
水野 沙織

教養課程での基礎学問の習得から、機械系進学後は常に応用(製品)の視点が入ってきます。卒業生の多くが活躍する製品開発の現場ではより良いモノを作るために必要な知を自ら探求し、具現化することが求められます。機械系での学生生活はその良い準備期間になっていたと感じています。社会に出て実践を積むに従い、授業で学んだ知識に加え、機械系で教わったエンジニアとしての考え方・心得の重要性、「本質を見抜く力」という言葉の意味を再認識している現在です。

水野 沙織

学生の声

学びを実践し自分の力に

工学部機械工学科4年
竹下 明宏

小さいころから身の回りにある機械に興味があったというのが機械Aを選んだきっかけです。機械A では四力学を中心とした座学の授業は少なくないですが、それだけ機械1つに幅広い分野の知識が必要なのだと思います。知識を学ぶだけでなく、演習の授業で身をもって理解を深められることが機械A の大きな魅力の1つです。そして、学科を選んだ後も、幅広い機械工学の分野から自分が興味を持てる内容を選んで研究に取り組むことができます。私自身は現在エンジンに関する研究をしています。様々な移動手段の支えとなっているエンジンは機械工学の全ての要素が詰まっていて、座学と演習の組み合わせで学んできたことが研究に生かされています。

竹下 明宏

寛容さと選択肢の多さが魅力

大学院工学系研究科 機械工学専攻 修士課程1年
冨田 結子

元々は生物系の基礎研究をしたくて理科二類に入学しましたが、駒場時代に機械A の研究室を回る機会があり、機械の分野に興味を持ち、機械A に進学しました。初めは理科二類から来る人が少ないので不安でしたが、様々なことに寛容な雰囲気がありすぐに慣れました。学部時代の授業では四力と数学を中心とした座学だけでなく、実際に自分で手を動かしてものづくりをする授業もあり、楽しんで取り組むことができました。現在では、流体力学系の研究室で分子動力学シミュレーションを用いた研究をしています。1つの研究室の中でも本当に様々な研究テーマがあり、まだ自分の中でどんな研究をしたいかはっきり固まっていない人でも興味を持てる研究分野が見つかるのが機械A の魅力だと思います。

冨田 結子

知識を基盤に新しい価値を生み出す

大学院工学系研究科 機械工学専攻 博士課程3年
榊間 大輝

小さい頃からSF が好きだったということもあり、大学入学時から機械系や電気系への進学を考えており、広くハードウェアについて学べる機械A を選択しました。大学院では半導体デバイスの強度や信頼性を中心に、シミュレーションを主体とした研究を行っています。機械系の研究室では、物理現象の解明のような基礎的な領域から、実際に産業界が直面している課題の解決といった非常に身近な領域まで様々な研究が行なわれていますが、必ず「応用」(製品への利用や実用化)の視点が入ってきます。そのため、企業や研究所との共同研究が多いのも特徴です。技術者志望、研究者志望を問わず、基礎知識を基盤に、実用性のある新しい価値を生み出すということに取り組みたい方々にはおすすめの学科だと思います。

榊間 大輝